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最高裁判所第三小法廷 昭和54年(行ツ)11号 判決 1979年5月01日

熊本県上益城郡矢部町下馬尾三四四番地

上告人

坂本袈市

右訴訟代理人弁護士

矢野博邦

熊本市東町三番一五号

被上告人

熊本東税務署長

後藤俊夫

右当事者間の福岡高等裁判所昭和五二年(行コ)第二号所得税更正処分取消請求事件について、同裁判所が昭和五三年一〇月二六日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人矢野博邦の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひっきょう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 横井大三 裁判官 江里口清雄 裁判官 高辻正己 裁判官 環昌一)

(昭和五四年(行ツ)第一一号 上告人 坂本袈市)

上告代理人矢野博邦の上告理由

原判決が、本件宅地二筆についての上告人、原田間の譲渡価額は六〇〇万円と合意されたこと、原田は合計六〇〇万円を、いったん国武から受領して、もしくは国武が直接上告人に支払ったと認定し、本件宅地二筆の譲渡価額は被上告人が認定したとおり、六〇〇万円であると認定しているのは、以下の諸点において、理由不備もしくは理由くいちがいの違法を犯したものであって、この法令違背が判決に影響を及ぼすことは明らかである。

一、乙第五号証の二乃至八の記載の信用性

第一審証人原田礼四郎の第二回証言と、同じく第一審証人永野大次郎、同池田国夫の各証言の評価を誤まり、そのため乙第五号証の二乃至八の記載に不当に信用性を認めることとなっている。

また、原田、国武の証言の信ぴょう性を争うための甲第九乃至第二二号証についても、それが時期的に後である昭和四九年四月および七月頃の刑事事件のものであるから関係ないとしているが、原田、国武が共謀して渡辺豊久に本件宅地二筆を九〇〇万円で売却し、そのことについて詐欺被疑者として取調べを受けたことから、詐欺の容疑を免れるため、上告人からの譲渡価額を真実に反して六〇〇万円としたとの疑いがある。それにも拘わらず、甲第九乃至第二二号証を関係ないとして原田、国武の証言の信ぴょう性を誤り、ひいては乙第五号証の二乃至八の評価を誤ることとなっている。

二 国武の資金調達

原判決は、原審証人竹田薫、同国武不可止の各証言と乙第一〇乃至第一四号証によって国武の六二〇万円の資金調達を認定しているが、乙第一〇ないし第一四号証の成立については何等立証がないのに真正に成立したものとしてこれを認定の根拠にしている点は理由にくい違いがあると謂わざるを得ない。

しかも、資金の内渡辺豊久からの融資の点も第一審証人渡辺の証言に照すと信用できない。

三 甲第五号、六号証

原判決は、原審証人原田、国武の証言と同人ら作成の乙第一、二号証により甲第五、六号証を仮装の契約書とこれに付随して作成されたものと認定しているが、原田、国武の証言が信用に値しないことは前記のとおりであるから、右認定も不当である。

以上

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